Books translated by Mari Takenouchi竹野内真理の翻訳本

Books translated by Mari Takenouchi 竹野内真理の翻訳本
『人間と環境への低レベル放射能の脅威(The Petkau Effect/ Original German: Der Petkau-Effect Katastrophale Folgen niedriger Radioaktivitat)』
『原発閉鎖が子供を救う(Radioactive Baby Teeth: The Cancer Link)』
『低線量内部被曝の脅威ー原発周辺の健康破壊と疫学的立証の記録(The Enemy Within)』
『内部被曝』(扶桑社新書)ーあとがき執筆

2013年2月2日土曜日

NY科学アカデミー編『チェルノブイリ』要旨


ChernobylConsequences of the Catastrophe for People and the Environment

Alexey V.YABLOKOV, Vassily B. NESTERENKO, Alexey V. NESTERENKO

 



 

(去年の夏に既に岩波書店から出版予定とされていたチェルノブイリの本がまだ出版される気配がないので、内容のまとめをネット上にあるまとめも引用しながらつくりました。竹野内真理)

 

 

Janet D.Sherman-Nevinger博士とのインタビュhttp://www.universalsubtitles.org/en/videos/zzyKyq4iiV3r/

 

Janet D.Sherman-Nevinger博士http://janettesherman.com/about/など参照)

Western Michigan大学で生物学、化学を学んだ後、新卒で米国原子力委員会と米国海軍放射線防護研究所で働き、放射能の問題に早期から携わる。その後Wayne State 大学で医学を学ぶ。76年から82年はEPA(米国環境保護局)の顧問として、乳がんや殺虫剤の研究に携わる。医学・法律学の専門家でもあり、彼女の関わった5000人もの労災訴訟のメディカル・ファイルは全米でも個人としては最大規模。(メリーランドにあるNational Library of Medicineにあり94年に医師を退職した後も、研究、学術論文の発表を続けている。医師、著述家、活動家。

 

インタビュー内容

l  5000以上の医学論文を元に、1986年から2004年までに985千人近くが死亡。

(一方死者を4000人としているIAEAは、350の論文を元にしている)

 

l  WHOIAEA1959年に協定を結んでおり、WHO独自の調査を発表できないことになっている。

 

l  体中の全ての臓器に影響、またバクテリアやウィルスを含む生態系のすべてに変化。

 

l  バンダジェフスキーは、子どもの体内セシウム濃度が実験動物と同じ値になっていることを発見し、刑務所に入れられた。

 

l  放射性物質がある程度浄化されるまでには1000年、セシウム137やストロンチウムなどの半減期30年くらいのものでも、その10倍の300年かかる。

 

l  チェルノブイリは今でも放射能が漏れており、小地震で崩壊する恐れがある。

 

l  著者の一人、ヤブロコフ博士はゴルバチョフとエリツィンの補佐を勤め、事故後3年間は情報が隠蔽され続けていたのを知る。

 

l  ヤブロコフ博士は15万以上ある論文の中から5000の論文を使い、この本を執筆。英文はほとんどなく、ベラルーシ語、ウクライナ語、ロシア語が主。(西側諸国には初めての情報)

 

l  最悪の影響は子どもたち。ベラルーシで健康な子どもはわずか2割。

 

l  妊婦たちが食べる食物については情報が届かず、または食べ物自体が手に入らず、子どもたちは生まれつき、心臓、肺、甲状腺、脳、すべての細胞、免疫系に障害を持ったり、低体重で生まれたり、死産となったりした。

 

l  スカンジナビアでも、事故当時に生まれた子どもは学力が低い。

 

本書の概要


 



ヤブロコフ・ネステレンコ報告

汚染強度
4,000Bq/m2 (0.11Ci/km2)
以上の汚染地域に4ヶ月住んでいた人数は4億人。いまだに1,500万人がセシウム137汚染が40,000Bq/m2(1.08Ci/km2)以上の地域に住んでいる。

チェルノブイリ
Ci/km2
Bq/m2
mSv/y
microSv/h
強制避難区域 直ちに強制避難、立ち入り禁止
40.0
1,480,000
134.9
15.40
一時移住区域 義務的移住区域
15.0
555,000
50.6
5.78
希望移住区域移住の権利が認められる
5.0
185,000
16.9
1.93
放射線管理区域(15,000,000人居住)
1.0
37,000
3.4
0.39
ヨーロッパ(4億人居住)
0.1
4,070
0.4
0.04


疾病率(morbility)、障害(impairment and disability

白ロシアでは1985年には健康な子供は90%であったが、2000年には20%に低下
白ロシアでは19861994年の時期に新生児の死亡率は9.5%に上昇。ゴメル地方で死亡率最大205%という数値は早産が増えたためと1996年にジーコビッチによって報告されている。注)死亡率が100%を超える理由はその定義が((早産の死体数)+(生きて生まれたが、その後放射線障害で死亡した数)) / (生きて生まれたが、その後放射線障害で死亡した数)のため
事故の後始末に働いた若者は5年後に30%は病気になった。10年後には健康な若者は9%以下
ウェールズのホットスポットでは1986-1987年の新生児の体重が1.5kg以下に低下した


加齢の加速
白ロシアでは幼児の消化管上皮の老化
ウクライナ寿命が7-9年短くなる
事故の後始末に働いた若者は同年より10-15年早く病気になり寿命は5-15年短くなる
事故の後始末に働いた男子の81%、女子の77%は心臓病になった


循環器系の疾病
白ロシアでは避難者の血液とリンパ系疾病は事故後9年ではその前より3.8倍増えた。汚染地域に住民は他の地域の住民に比べ2.4倍になった
ウクライナでは事故後12年間は循環器系の病気が11-15倍に増えた
ロシアのブリヤンスク県では事故後10年間に渡り、子供の白血球数が極端に低くなった
白ロシアの新生児の赤斑が事故後2倍になった
事故処理労働者の致命的心筋疾患が一般人の平均の2.5%から22.1%に増加


遺伝子損傷
電離性放射線は遺伝子を損傷する。この損傷遺伝子は数世代に渡って残るであろう。汚染地帯では染色体異常が沢山観察された
チェルノブイリの遺伝子に与えた影響は放射線強が広島や長崎の数1,000倍以上であったのでこれを多量にあびた第一世代への影響が大きかった
事故直後の半減期の短い放射性物質にさらされた人、バックグランドと同じレベルに下がるのに300年を要するストロンチウム90、セシウム137と共存して生きる人、プルトニウム、アメリシウム汚染地域に住む人、およびその子供達は7世代にわたって影響が残るであろう
ノルウェーでは染色体異常10倍になっているのが56人の成人で観察された
スコットランドで21番染色体が1本余分に存在するトリソミー症(ダウン症)が2
セシウム1373Ci/km2(111,000Bq/m2)のロシアのチェルノブイリ近辺で染色体異常が2-4倍になった
オーストリアで17名の成人の染色体異常が4-6倍になった
白ロシアで1987-1988年にかけてダウン症が49%増え、その他の国でも1987-1994年にかけ17%
放射線をあびた両親の子や白ロシア、ウクライナに住んでいた子供のサテライトDNAの突然変異が2
白ロシアで事故後6年時点でウクライナにおいて放射線を浴びた父をもつ子の先天性発達異常は他の地区の1万人当たり960-1200人に比し、1,135 -1,376人と増え た。脾臓、副甲状腺、甲状腺、副腎皮質、卵巣、睾丸などの内分泌線の疾病は3倍になった


内分泌系
ウクライナでは1988-1999年にかけ、内分泌線の疾病が8倍になった
白ロシアで1987年、事故の後始末に働いた人の子の免疫細胞に重大な変化が見られた
ウクライナの汚染地域では免疫細胞と体液が大きく損なわれた
ロシアの汚染地域に住む子供達に抗酸化と交感神経系の機能不全が見られた


呼吸器系
一般人、事故の後始末に働いた人の区別無く、10-15年後に免疫力の低下にとともに鼻咽頭および気管支疾患が増える。汚染が15-40Ci/km2に居住していた子供は3年後に3.5倍。汚染地帯に住んだ女性から生まれた新生児の非感染性の呼吸器系障害は9.6倍。事故の後始末に働いた人の慢性肺疾患は事故後15年間に10倍になった

泌尿器系
放射線はホルモンのバランスが崩れるために腎臓、膀胱、尿路、卵巣、精巣が影響を受ける。2000年までのデータでは生殖器の不全は女子で5倍、男子で3 倍になる。1981-1995年間に白ロシアでは子宮内膜症が2.5倍になった。不妊症は1986年に比べ1991年には5.5倍。このうち精子異常は 6.6倍であった。1988-1999年に泌尿器生殖器疾患は2倍となった。54.1%の妊婦に癇前症、貧血、胎盤の破壊と多量失血が見られた。事故の後始末に働いた人は1988-2003年の間、泌尿器生殖器疾患が10倍となった。

骨格・筋肉系
ホルモンバランスのずれ、または破骨細胞と造骨細胞が放射線で死ぬことにより骨粗鬆が増える。歯がだめになることにより健康障害が発生する。慢性の筋肉痛は正常な生活を阻害する。骨筋系の欠陥は特に子供の発育と活動の障害となる。ウクライナの事故の後始末に働いた人の筋肉と腱の障害は1991-2001年にかけ2.3倍となった。ウクライナでは胎盤のセシウム1370.9-3.25Bq/kgだった子供に中空骨や脊椎軟骨の損傷がみられた。ロシアでは事故の後始末に働いた人の30-88%に骨粗鬆

神経系
低放射線レベルでも神経系への影響は大きい。高度神経系においても視覚神経系においても神経精神病理学的不調においても同様である。脳は放射線に対し敏感であることの証拠が増えている。中央ならびに自律神経系を変えて脳障害を引き起こす。高度汚染地域では低度汚染地域に比べ幻覚・幻聴がより頻繁に経験される:白内障、ガラス体の変質、焦点調整不能、紫外線脆弱性、結膜炎

消化系
事故の後始末に働いた人には消化器官の疾病が増え、汚染地域で生まれた赤ん坊の先天的消化システムの機能不全が見られた。低放射線の影響は変わっていて胃腸器官上皮の機能は子宮内にいる期間だけでなく影響を受ける。事故の後始末に働いたロシア人の消化器官疾病は9年間に渡り7.4倍になった。白ロシアでセシウム135が検出された若い避難者の40%は胃腸器官疾病患者であった。ウクライナの5-15kBq/m2レベルの汚染地域の人々と、管理グループを比較すると、胃の粘膜の退化が5倍、腸の変質が2倍であった

皮膚
汚染地帯では事故直後、皮膚と皮下組織の病気が増えた。原因としては外部からの放射線に加え、内蔵疾患の影響が考えられる。1988-1990年において皮膚疾患は4倍になった。ロシアの汚染地域の子供とティーンエイジ世代の60%で皮膚疾患がみられた。事故の後始末に働いた人で乾癬を発症した人の97% は神経系と胃腸に問題を抱えていた

感染症
放射線は寄生虫など我々の共生生物たる微生物相、動物相に働きかけて生物共同体を変えてしまう。汚染地域では食中毒、胃腸炎、敗血症、ビールス性肝炎、呼吸器系ビールスが増える証拠がある。
病原菌が強くなったのか人間が弱くなったのか、両方なのかはいまだ不明である


先天性奇形(CM
汚染地帯では子供の遺伝的異常、先天性奇形が増える。手足、頭、身体の損傷を含む。先天性奇形はいまだ増えつつあり、その程度は汚染度に比例することは仮説ではなく、事実である

腫瘍
1986-2056
年のガン患者は9,000-28,000人とするWHO予測は過小評価である。I-131Cs137だけでもヨーロッパで 212,000-245,000人、その他世界で19,000人であろう。高濃度Te-13Ru-103Ru-106Cs-134と長期にわたる Cs137Sr-90PuAmは数百年の影響をのこすであろう

死亡率
1990-2004
年のウクライナ、ロシア、白ロシアの死亡者21.2万はチェルノブイリ事故が原因で、全死者の4%。事故の後始末に働いた若者の総数83万人の15%11.2-12.5万人は2005年を迎えることなく死亡。

ヨーロッパの数億人の住民のうち、数十万人がチェルノブイリが原因ですでに死亡し、これからも増え続ける。ドイツのババリア州では1987年の死産率は45%増えた。

デンマーク、ドイツ、ハンガリー、ノルウェー、ポーランド、ラトビア、スエーデン男女比逆転、死産が増えた。英国では事故後10ヶ月間は妊娠後期の胎児死亡率が増えた。

スエーデンでは事故直後と1989-1992年の幼児死亡率が増加。ロシアの事故の後始末に働いた若者で事故後12年以内に死亡した人の87%30-39才であった。

セシウム137の汚染強度が555kBq/m2(15Ci/km2)以上の地域住民の平均寿命は8年短縮された。1999年のウクライナの汚染地域の死亡率は1,000人当たり18.3人で他の地域の14.8人より28%高くなる。

1994-2004年のロシアの汚染地域のブリヤンスク県の死亡率は22.5%増えた。特に45-49才でみると87%


地域
1990-2004 年の死者数
ヨーロッパロシア
67,000
白ロシア  
59,000
ウクライナ 
86,000
小計     
212,000
>15Ci/km2(40Bq/m2) or 50mSv/yで転居して統計外  
25,500
統計外合計
237,500
ソビエト外ヨーロッパ>1.08Ci/km2(40Bq/m2) or 3.4mSv/y
170,000
ソビエト外ヨーロッパ<1.08Ci/km2(40Bq/m2) or 3.4mSv/y
255,000
ヨーロッパ外全世界               
323,000
全世界合計
985,000

 

環境への影響
影響は人間だけでない。哺乳類、渡鳥、昆虫、森林、農作物がダメージを受けている
放射線は植物の形態異常、腫瘍を生じる
動物相も放射線で影響を受ける。これは人間と大差ない
ミツバチは完全に居なくなった
微生物相はあまり研究されていないが放射線を受けての変化は急速である
食料の汚染が最大の問題

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