【6月17日 AFP】中国南部広東(Guangdong)省にある台山原子力発電所(Taishan Nuclear Power Plant)で採用された新世代の原子炉で問題が起きたことを受け、この原子炉を設計し普及を目指していたフランスの関係企業は大きな痛手を負い、中国の原発産業も影響を受ける可能性が出ている。

 米CNNが放射性物質漏れの恐れを報じたことを受け、フランス電力(EDF)と中国政府は、台山原発でのガス蓄積への懸念を払拭(ふっしょく)しようと努めている。

 EDFの欧州加圧水型炉(EPR)は、従来型よりも安全で耐用年数が長く、発電能力が高いとうたわれているが、今回の問題で新たな打撃を受けている。

 台山原発は2018年、世界で初めてEPRを採用。同じくEPRを導入予定の英、仏、フィンランドでは、何年も遅れが出ている。

 EDFは、同原発の一部を所有しており、運営する中国広核集団(China General Nuclear Power Group)が株式の過半数を所有している。

 EDFは今週、燃料棒の問題に関しては昨年10月には報告を受けていたが、ガスの蓄積について把握したのは今月12日になってからと説明。今回の問題と中国当局の沈黙がきっかけとなり、EDFに対する批判が上がっている。

 中国国内で進められている原発計画にも影を落とす可能性がある。中国の原子炉数は世界3位だが、同国のエネルギー部門で原子力が占める割合は比較的小さい。

 2011年に発生した東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所の事故後、原発建設計画をめぐる中国世論は懐疑的で、当局も慎重な態度を示している。

 カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)のマーク・ヒッブス(Mark Hibbs)核政策上級フェローは「中国政府はここ数週間、福島原発の処理水放出をめぐって日本の対応を公然と非難してきたこともあり、台山原発の事案により、国民への事実説明が求められるのは必至だ」と指摘している。(c)AFP/Julien MIVIELLE

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中国の原発問題点について

(参照文献『中国原発大国への道』岩波ブックレット834 郭四志著) 

中国の陸地域面積は世界大陸の14分の1だが、地震発生件数は世界の3分の1を占める地震大国。中国のほとんどの地域でM6.0以上の地震が発生、19の省と区でM7以上の地震が起きたことがある。四川での大地震は、内陸部のみならず、沿岸地域でも起きている。

1976年の死者24万人を出した唐山大地震も華北地区の地震帯で起きている。特に活発なのは、西南、西北、華北、盗難、台湾などの5つの地域。首都北京や天津、遼寧南部など人口密集地域も近い。

 また震源が浅く、中国で発生した地震の95%は、地表から40km以内、特に東部地区で起きた地震の震源は10~20kmであり、震源が浅ければ浅いほど地表の破壊や被害も大きい。

 以下の原発は地震帯に近い:広東、福建省、遼寧省大連(特に危険!1888年の地震ではM7の地震と津波発生。防波堤は6.5mしかない)、山東省海陽原発、四川省、重慶

 内陸部の原発は天候不順と温暖化により、冷却水の確保も不安定。飲料水の安全性にも影響

 中国には様々な原発:M310(フランス製)、AES91(ロシア産、VVER)、CANDU6(カナダ産重水炉)、EPR(仏アレバ社、欧州加圧水型炉)、AP1000(米ウェスティンハウス社、加圧水型炉)、および国産。仕様がバラバラ。標準体系の構築が困難。しかしNRCに相当する核安全局の人員は極めて少ない。専門家やエンジニアなどの人材の欠乏も問題。

三菱重工、日立製作所、東芝、仏アレバ社など、先進原発諸国の企業は中国から原発設備などを受注している。

核燃料サイクル分野にも進出予定

中国は土地が国有、公有のため、原発立地が自由。地方政府の反対や市民の反対デモなどほとんどない。 

国家核安全局長も、ここ数年来、加熱している原発建設の拡大は、多大なリスクを秘めていると表明し続けている。

万が一の事故の場合、中国ばかりでなく、北朝鮮、韓国、日本など東アジア地域にも放射性物質による被害の可能性。