ベラルーシ ノーベル賞作家も事情聴取「世界の助けが必要」
大統領選挙のあと混乱が続く旧ソビエトのベラルーシで、反政権派の1人として活動するノーベル文学賞作家のアレクシェービッチ氏は「われわれは世界の助けを必要としている」と述べ、政権側が対話に応じるよう働きかけを強めてほしいと国際社会に訴えました。
ベラルーシでは、今月9日の大統領選挙で「不正が行われた」とする反政権派が抗議活動を続け、26年にわたり国を率いるルカシェンコ大統領の退陣を訴えているのに対し、政権側は取締りを強めています。
反政権派の1人で、5年前、ノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家、スベトラーナ・アレクシェービッチ氏も捜査当局の出頭要請を受け、26日、およそ40分、事情聴取を受けました。
事情聴取を前にアレクシェービッチ氏は「活動はすべて合法的で、自分に罪はない。われわれの目標はクーデターではなく、政治危機を克服することだ」と述べました。
そして、反政権派との対話を拒否しているルカシェンコ大統領を非難したうえで「われわれは世界の助けを必要としている。おそらくロシアの助けも必要としている」と述べ、ベラルーシに影響力を持つロシアを含む国際社会に対して、対話の実現に向けて働きかけを強めてほしいと訴えました。
反政権派の1人で、5年前、ノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家、スベトラーナ・アレクシェービッチ氏も捜査当局の出頭要請を受け、26日、およそ40分、事情聴取を受けました。
事情聴取を前にアレクシェービッチ氏は「活動はすべて合法的で、自分に罪はない。われわれの目標はクーデターではなく、政治危機を克服することだ」と述べました。
そして、反政権派との対話を拒否しているルカシェンコ大統領を非難したうえで「われわれは世界の助けを必要としている。おそらくロシアの助けも必要としている」と述べ、ベラルーシに影響力を持つロシアを含む国際社会に対して、対話の実現に向けて働きかけを強めてほしいと訴えました。
ベラルーシに変革が起きている今こそ、やるべきと考えていることがあります。
30年来のチェルノブイリ研究の第一人者、バンダジェフスキー博士を今こそ、ベラルーシ祖国に帰還させ、また博士のひばく研究を世界に知らしめる時ではないのでしょうか。
博士は1990年、31歳でソ連史上最年少の医学部教授となり、33歳で妻と幼子2人を連れ自らベラルーシの汚染地帯に入り、初代学長としてゴメリ医科大学を創設。
9年もの研究を続けたのち、放射性セシウムの心臓その他の主要臓器への影響、また遺伝的影響を突き止め、ベラルーシのTVで発表。大統領令によって逮捕、投獄され、その後亡命し、今もウクライナの汚染地帯で研究を続けているバンダジェフスキー博士。ずっと以前から考えていたことですが、博士に今こそ、祖国に帰る権利とノーベル生理・医学賞と平和賞を与えるべきではないでしょうか。
しかも、これは博士一人の問題ではないのです。公式発表に反し、何百万という放射能による被害者の出ているチェルノブイリ事故。平均被ばく量1.5mSvの低線量被ばく者の数は、ヨーロッパ全体で実に4億人以上にのぼるという数値も出ています。http://www.rri.kyoto-u.ac.jp/NSRG/etc/Kagaku2006-05.pdf
バンダジェフスキー博士は、様々な嫌がらせや投獄や亡命といった困難にも関わらず、実に30年もの間、特に子供たちの健康問題、遺伝的影響、重症化する前に予防するための医療のため、今も汚染地帯の人々のために尽くされています。
特に博士の突出した研究では、体内に取り込まれたセシウムの主要臓器に与える影響を、亡くなった大人と子供たちの解剖まで行い、調査、実証してきました。
またチェルノブイリ汚染地帯では、恐ろしいことに森林火災もよく起こるそうなのですが、2015年には森林火災後の子供たちの血液や代謝への影響についてまで研究論文を発表しており、2020年4月の大規模森林火災では、世界で唯一の警告を発した科学者として知られています。
チェルノブイリの放射性物質の実に70%が降下し、健康な子供の数が逆に減ってしまい、人口減少の激しいベラルーシ。
信じられないことに、大統領が推し進めてきた同国初の原発を稼働させようとしています。核燃料は今月の初めにすでに装填されてしまいました!リトアニア国境近くにあり、リトアニアでも原発反対のデモが行われているのに、なぜか世界のニュースになっていません。
この問題をToo Late にしないためにも、今こそ、放射線被ばく問題の世界的権威、バンダジェフスキー博士の祖国帰還と、ノーベル賞授与により、世界に知らしめるべきではないでしょうか。
放射線被ばくの問題は、原発推進反対といったイデオロギーも、国境も、世代を超えるものです。今こそ、政策決定権を持つ方を含むすべての人々が、自分や子孫の命を含めた命と環境を守るために、行動を起こす時ではないのでしょうか。
ノーベル賞作家のスベトラーナ・アレクシエーヴィチ女史(右)と談笑するチェルノブイリ医療の世界の第一人者、バンダジェフスキー博士(左)
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ノーベル賞受賞作のスベトラーナ・アレクシエーヴィチ作『チェルノブイリの祈り』(ノンフィクション)より、私の心に最も残ったある子どもの言葉をひとつ以下に引用させて頂きます。
"ともだちがいました。アンドレイ。彼は二回手術をして家に帰された。半年後には三回目の手術が待っていた。アンドレイは自分のベルトで首を吊って死んだ。誰もいない教室で。みんなが体育の授業に行っているすきに。走ったり、跳んだりすることは医者に禁じられていたんです。
ユーリャ、カーチャ、ワヂム、オクサーナ、オレグ。今度はアンドレイ。アンドレイは言った。「ぼくらは死んだら、科学になるんだ。」カーチャは思った。「私たちは死んだら、忘れられちゃうのよ。」ユーリャは泣いた。「私たち、死ぬのね。」いまでは、空はぼくにとって生きたものです。空を見あげると、そこにみんながいるから。"
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チェルノブイリの子供たちとバンダジェフスキーの出てくる映画、Nuclear Controversies(英語と中国語)